寮生募集の季節なので、宣伝を兼ねて、現在の寮の自慢したくなるような良い点を四つほど紹介したい。
一つ目は、全員が掃除をきちんとやるということだ。寮では、毎週日曜の午前に皆で寮の掃除をする。トイレ、キッチン、洗面所、シャワー室、玄関、廊下・・・と分担を決めて掃除をするのだ。任される箇所は一箇所だからたいした仕事ではないが、それでも毎週やるとなると結構面倒である。だから普通の学生寮ではさぼりが横行する。ところがこの寮では、さぼる学生がほとんどいないのだ。用事があって日曜日に掃除ができなかった学生も、別の日にきちんと掃除を行っている。だから、寮は概して清潔である。これは学生寮としては、極めて珍しいことだ。
二つ目は、人間関係が良好で、和気藹々とした雰囲気が寮を支配しているということだ。掃除をさぼる人がいないのだからさぞかし厳しいしつけがなされているのだろうと思いきや、そのようなことはない。寮長の私自身、学生に対して声を荒立てたことなど一度もない。ルールを決め、やるべきことを指示し、結果をチェックするだけである。だから、寮長と学生の関係はとても良好である。学生同士の関係も良好だ。相当に個性の強い学生でも、快く受け入れられ、いじめやけんかは言うに及ばず、グループ化さえも見られない。学寮の名前のごとく、春風のような穏やかな雰囲気が隅々にまで漂っている。これは、大いに自慢すべきことだと思う。
三つ目は、食事がおいしいということだ。まかないスタッフの一人が魚菜学園で学んでいたということもあって、食事のレベルはかなり高い。例えば味噌汁。インスタントのだしは使わず、鰹節や煮干からきちんとだしをとるので、実にうまい。口にすると、あっと声を上げてしまうほどである。数十年のまかない経験から生み出されたこの寮でしか味わえない独自のメニューがたくさんあり、ハンバーグ、から揚げ、とんかつといった定番メニューも普通とは異なる工夫が凝らされている。だから油断するとついつい食べ過ぎて太ってしまう。
四つ目は、広い集会室(約60平方メートル)である。この集会室は日曜午前の聖書の学びに使用するためのものだが、それ以外では寮生たちが自由に使用してよい。だから寮生たちはそこでピアノの練習をしたり(寮にはピアノもある)、バイオリンやギターの練習をしたり、あるいは筋トレをしたりしている。スピーカー、スクリーン。プロジェクターが完備されているので、映画の上映会もできるし、バンドの練習もできる。これほど重宝なスペースは他の寮やアパートにはまずあるまい。
というわけで、この寮は非常に快適である。快適であるから、入った寮生たちはほとんど途中退寮しない。私が寮長に就任してからは、途中退寮者は一人もおらず、全員が年限まで在寮している。これこそ最も自慢すべき点かもしれない。
自慢ばかりで恐縮だが、寮生募集期間ということで、ご容赦願いたい。
寮長 小舘美彦