2021年09月10日

「真夏の夜の夢」

寮生の一人がバレエ・ダンサーをしていて、『白鳥の湖』の王子役と『レミゼラブル』の宿屋の主人役をやると言うので、寮に残っている寮生たちと見に行った。コロナ下ということで観客は家族や関係者だけだったが、その内容は実に素晴らしいものであった。バレエ・ダンサーの彼は、学業よりもバレエを優先するプロ志望の学生で、現在も出演料をちゃんともらっている。それだけあって、驚くほど踊りがうまく、素人目にもその優秀さが解った。

 何よりも私たちを驚かせたのは、『白鳥の湖』の王子役の時の彼と『レミゼラブル』の宿屋の主人役の時の彼との違いであった。王子の時の彼は、優美にして繊細、大胆にして華麗、まさしく王子であった。ところが宿屋の主人の時の彼は下品そのもの、宿屋の客に娼婦を紹介し、たんまりと金をせしめてにっこりとほくそ笑む。何という落差。これがあの王子を踊っていたのと同じ人物かと目を疑うほどであった。

 後日、彼に聞いてみた。「宿屋の主人役、すごくうまかったねえ。ひょっとするとあれが君の地なの?」すると彼は、否定せずに、「どうかなあ」と笑っていた。その笑顔を見ながら私は思った。「彼はもう夢の世界に生き、夢を売るプロなのだ。これは大物になる」と。


 2021年9月9日

寮長 小舘美彦

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2021年08月12日

「ゴーヤ大豊作」

日照りが続くからか、ゴーヤが採れて採れて仕方がない。たった二つのプランターから、今日一日で11本採れた。今迄に採れたのを合計すると、約30本で、これからもまだ採れそうである。

 困ったのは、食べ手がいないことだ。寮生のほとんどは帰省しており、残った数人の寮生はあまりゴーヤが好きではない。おかげで寮長の食卓のおかずは毎日のようにゴーヤチャンプルである。

 しかし、黄色くなったゴーヤは、苦みがなく、やわらかいので、サラダにして食べると結構いける。これである程度単調さを回避できる。

ちなみに、黄色くなったゴーヤこそが完熟状態であり、栄養もより豊富なのだそうだ。緑のゴーヤだけが食べられるゴーヤだ、などと思いこまずに、ぜひ挑戦してみてほしい。


寮長 小舘美彦

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2021年07月21日

グリーンカーテン成功

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グリーンカーテン成功。キュウリとゴーヤも採れてます。

寮生たちがプランターに植えたキューリとゴーヤが見事に成長。グリーカーテンとなって、寮の断熱効果に貢献している。それだけでなく、その収穫は寮の夕食に添えられたり、寮生が作る昼食の材料となったりで、大活躍。たかがプランター栽培でここまで育つとは。来年は、花壇に植えてしまおうかな。

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posted by 春風学寮 at 13:23| 日記

2021年07月17日

春風学寮の大収穫

ついに梅雨が終わり、春風学寮は大収穫の時期となった。写真は、春風学寮の菜園で7月17日に採れた野菜の写真だ。

 しかし、大収穫は野菜だけではない。文化的にも大収穫がもたらされた。その大収穫とは、毎週のように行われる学術座談会と読書会である。この一月余りの間に行われた学術座談会と読書会のテーマを羅列すると以下の通り。「『走れ、メロス』再読」、「赦しについて」、「法学と神学の類似性」、「二項対立的思考から抜け落ちるもの」、「『源氏物語』の注釈から見えてくる紫式部の文学空間」、「ショーペンハウアーの『読書について』を読む」、「ポアンカレ―の『科学と仮説』を読む」、「村上陽一郎の『科学史・科学哲学入門』を読む」。

 いずれの話し合いも、真理を追究しようという真摯なものであった。ときには目をみはるばかりの高みに達することもあった。それを具体的に紹介できないのは実に残念なことである。しかし何よりも重要なことは、これらのすべてをやろうと言い出したのは、寮生たち自身であるということである。寮長の私がやれと言った覚えは全くないし、やるように促したことすらない。

 これこそ春風学寮の夏の大収穫ではないか。秋にはきっとこれ以上の収穫があることだろう。

 寮長 小舘美彦

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2021年06月07日

「春風菜園の誕生」

 寮生たちがキュウリとゴーヤを植えたいということで、ゴールデンウィークにプランターとネットを買い、庭に植えた。これがいけなかった。私は元々野菜作りが大好きなので、野菜熱に火がついてしまったのだ。寮の日当たりの良いところを開墾し、開墾できないところにはプランターを買ってきて、ナスやトマトも作り始めてしまった。物置に植木鉢を見つけては、嬉々としてピーマンやオクラを植え始めてしまった。

 というわけで、今春風学寮は菜園が花盛りである。先日早くもキュウリの初物が収穫された。夏の収穫が楽しみだ。


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posted by 春風学寮 at 09:27| 日記

2021年05月31日

「アカデミックサロン開始」

 所変われば品変わる。人が変われば寮も変わる。というわけで、新入寮生を迎えた春風学寮は一変した感がる。その最たる例が、アカデミックサロン(学術座談会)の開始である。

 新入寮生の一人が日曜集会の後でみんなに提案した。「僕は話すのも人の話を聞くのも苦手だ。だから、そうしたことの訓練ができるように学術座談会を週に一度開催してはどうか。毎回担当者を決めて自分が学んだことや体験したことについて学術的に発表してもらう。それについてみんなで話し合う。そうすれば全員のコミュニケーション能力が上がるのではないか。」これは実に素晴らしい提案だ。しかし他の寮生たちは果たしてこれに同意するであろうか、と心配する私をよそに、満場一致でこの座談会の開始が決定されてしまった。なんという展開であろうか。

 早速準備会が持たれ、どのような形で進めるかが話し合われた。そして毎回の担当者が決められた。この時にも驚くべき光景が見られた。担当者を擦り付け合うのではなく、数人が自発的に引き受けたのだ。

 さて、これからどうなることか。この会が続いていけば、春風学寮は春風学術寮(アカデミア春風)となるかもしれない。

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posted by 春風学寮 at 00:00| 日記

2021年05月12日

ここは、どこだ

人の寮生が加わった。彼らがいずれも強烈な個性の持ち主なので、寮の状況は一変しつつある。以下その例を紹介したい。

@アカデミックに

今までの寮の中心メンバーは、体育会系の学生だった。だから、活動的、実践的、協調的であった。ところが今回加わった学生たちのうちの三人は無類の読書好きであり、暇さえあれば本を読んでいる。このスマホ全盛の時代に読書好きが三人も集まるとは。だから、読書会や日曜集会などで話し合いを行うと、意見や感想が百出し、その話し合いは相当にハイレベルになる。まるでスマホ以前の時代にタイムスリップしたかのようだ。

Aより清潔に

今までの寮は、他の寮と比べれば全然清潔であり、寮生たちはきちんと掃除をしていた。ところが新しく入った寮生の中にそれを全然上回っている者がいる。当番として割り当てられたと個所以外にも、汚れたところはどんどん掃除し、他の寮生が清潔にしていないと遠慮なく注意しする。おかげで寮はピッカピカである(ちょっと盛ってます)。このような寮が他にあっただろうか。

B料理の達人

今までの寮生の中にも料理好きな者がいたが、今回の寮生の中には料理の達人がいる。このために、寮生間ではキッチンの争奪戦が起こっている(ちと大袈裟です)。先日の母の日には、寮母と寮の賄のおば様のために、タルトやパンを焼いてくれた。これがまた、本格的で実にうまい(写真参照)。賄のおばさまは、「長いこと賄をしているけど、こんなことをしてもらったのは初めてです」とお喜び。

 なんだか、この寮は現代の世とは異なる次元にあるかのようだ。
posted by 春風学寮 at 13:20| 日記

2021年01月05日

「クリスマス会2020」

 19日土曜日にはクリスマス会を開催した。といっても、コロナ禍なので招待客は一切呼ばず、寮に残っている寮生と寮長夫妻だけで行った。総勢わずか11名。寮史上特筆に値する少なさだ。しかし、参加者が少ないからといって内容が低下するわけではない。それどころか、少ないところにこそ神様の応援がある。事実、礼拝はとても清らかなものとなり(聖書講話参照)、その後の祝会や食事会はとても心のこもった、楽しいものとなった。

 寮長夫妻は「マリアとヨセフ」と題するクリスマス・コントを行い、寮生たちはサンタクロースに扮してバレエを踊った。新しく入った寮生がバレエ団の一員なので、彼の指導によって可能となったのだ。また、それぞれが自分の過去に基づいて作問したパーソナル・クイズを行い、楽しみながら互いの理解を深め合うことができた。料理は、寮母が一人で作ったが、張り切ってたくさん作りすぎ、食べきれなかった。プレゼント交換では、農大生の一人が農大生協から食べられる虫を買ってきてプレゼントにしたので、大騒ぎになった。

 というわけで、互いとキリストをより身近に感じられる、一味違ったクリスマスであった。


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「寮母が張り切って二回クリスマス料理を作りました。」

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「急きょ結成されたサンタクロース・バレエ団」

posted by 春風学寮 at 11:07| 日記

2020年10月26日

「驚くべき新寮生」

 最近、新たな若者が寮に加わった。学年の途中で入寮するのは異例なことであるが、それよりも異例なのは彼の年齢である。彼はなんと15才(高校一年生)なのだ!

 春風学寮は本来大学生や大学院生のための寮だから、高校生の入寮を認めない。だから、入寮を申し込んできたときには諦めるよう伝えたのだが、それでも彼はぜひこの寮に入りたいと思っており、駄目もとでと必要書類(履歴書、志望動機、精神的自伝)を送ってきた。それらに目を通して私はびっくりした。とても15才の高校生が書いた文とは思われなかったからだ。これなら大学院生たちとも十分暮らしていける。そう思った私は何としても彼を入寮させたくなり、選考委員の理事たちにそれらの書類を転送し、審査してくれるようお願いした。すると理事たちも私と同意見で、面接してみて、本当に書類の通りの人物であるなら特例を認め、入寮させようということに決まった。

 果たして面接してみると、彼は本当に書類通りの人物であった。どのような質問にも落ち着いて回答し、その回答はどれも大学生レベルの回答であった。こうして彼は、学年の途中から入寮することになったのである。

 ルールは確かに大切である。しかしルールに縛られてばかりいると本当に大切なものを見失う。本当に大切なものとは、ルールの背後にある精神なのである。ルールの枠を超えて入寮を希望し、見事入寮を果たしたこの高校生は、この大切な真理に改めて目を向けさせてくれた。春風学寮を代表して感謝の意を伝えたい。


posted by 春風学寮 at 10:30| 日記

2020年06月16日

「コロナ禍で現れた春風学寮の圧倒的強み」

「コロナウィルスで寮はさぞかしたいへんでしょう」とねぎらって下さる方が多い。確かにたいへんである。しかし、対策をきちんと立て、それを実行していくならば、さしてたいへんではない。いやそれどころか、コロナ禍のもとにあればこそ、学生寮の圧倒的強みが現れてくる。その強みとは何か。

 先ずあげられるのは、ストレスの少なさである。寮は一人暮らしのアパートよりも断然広い。だから運動したり、楽器を演奏したりするところがたくさんある。加えて寮内には、話ができる相手がたくさんいる。三蜜を避けさえすれば、いくらでも交流を楽しめる。いや、交流は深まるとさえ言ってよい。

 次にあげるべきは、オンライン授業の助け合いである。オンライン授業ではたくさんの課題が出る。その課題をこなすのは容易ではない。加えて最近の若者の中には、パソコンを苦手とする者が多い。通信のほとんどをスマホに頼るからだ。そのような学生にとってオンライン授業は、鬼門である。ところが寮にいると、これらの困難を乗り越えることができる。他の寮生と協力することができるからだ。特に大学について何も知らない一年生にとっては、寮の先輩たちの助けは、途方もなく頼もしい。そういう助けのない一人暮らしの一年生たちは、一体どうなってしまっているのだろうか。

 しかし何と言っても、最高なのは寮費の減免であろう。春風学寮は金儲けのためにやっている寮ではないので、経済的に困っている学生に対しては寮費を減免することができる。この姿勢のお陰で寮生たちはコロナの経済的打撃をあまり受けないですむ。

 恐らく春風学寮は、人が想像するよりもはるかに災難に強い。弱そうなところに強みがあるのである。

posted by 春風学寮 at 09:54| 日記