2019年10月19日午前4時、春風学寮のアイドル猫「稲造」が天に召された。享年19歳、2001年からこの寮に住み続け、4人の寮長と共に過ごした。この寮の最古参であり、それゆえにこの寮の主であると言われている。彼にまつわるエピソードは無数にあり、それを集めるならゆうに一冊の本ができるだろう。それほどの猫であるから、告別式も本格的に行われた。20日の午後に寮長、寮生を初めとする寮関係者が20人ほど集まり、讃美歌を歌い、お別れの言葉を述べた。その後では、稲造の気に入っていた紫陽花の隣に埋葬し、皆で土をかけ、献花した。亡くなる前日の夜も寮生たちがかわるがわる別れを告げに来た。息を引き取るまで、何時間もそばについて見守る者もいた。いったいこれほど大切にされた猫が他にいるだろうか。そもそも稲造は野良猫なのだ。
非常識に思われるかもしれないが、春風学寮はそういう寮だ。キリストに学ぶ寮だから、そうなったのだろう。われながら貴重な寮だと思う。