最近、新たな若者が寮に加わった。学年の途中で入寮するのは異例なことであるが、それよりも異例なのは彼の年齢である。彼はなんと15才(高校一年生)なのだ!
春風学寮は本来大学生や大学院生のための寮だから、高校生の入寮を認めない。だから、入寮を申し込んできたときには諦めるよう伝えたのだが、それでも彼はぜひこの寮に入りたいと思っており、駄目もとでと必要書類(履歴書、志望動機、精神的自伝)を送ってきた。それらに目を通して私はびっくりした。とても15才の高校生が書いた文とは思われなかったからだ。これなら大学院生たちとも十分暮らしていける。そう思った私は何としても彼を入寮させたくなり、選考委員の理事たちにそれらの書類を転送し、審査してくれるようお願いした。すると理事たちも私と同意見で、面接してみて、本当に書類の通りの人物であるなら特例を認め、入寮させようということに決まった。
果たして面接してみると、彼は本当に書類通りの人物であった。どのような質問にも落ち着いて回答し、その回答はどれも大学生レベルの回答であった。こうして彼は、学年の途中から入寮することになったのである。
ルールは確かに大切である。しかしルールに縛られてばかりいると本当に大切なものを見失う。本当に大切なものとは、ルールの背後にある精神なのである。ルールの枠を超えて入寮を希望し、見事入寮を果たしたこの高校生は、この大切な真理に改めて目を向けさせてくれた。春風学寮を代表して感謝の意を伝えたい。