現在寮生を悩ませているのは、どのようにして運動量を確保するかである。大学の授業は当面休講、あってもオンラインで行われる。部活はないし、外出はできない。公園はよいかと思っていたが、公園でさえも感染リスクがあるから行ってはならないと言う。いったいどうすれば運動ができるのか。このままではストレスがたまり、体調も保てまい。そうなると、コロナウィルス感染のリスクも高まってしまう。どうしたらよいものか。唯一できることは、ダンベルやフィットネスバイクを使っての筋トレである。というわけで寮生たちは日々筋トレをやっているのだが、どういうわけか彼らは、筋トレを夜にやる。夜になると、寮のあちらこちらの部屋からがたごとという音が聞こえてくる。本当は朝や昼間にやってほしいのだが、状況を考えるとそこまでうるさくは言えない。
他方良いこともある。ほとんどの寮生が寮内にいるので、自からコミュニケーションの機会が増え、互いの親密度が増したのだ。おかげで4月から入寮した学生たちもあっという間に先輩たちと仲良くなった。また、中国の卒寮生からマスクが大量に送られてきたりして、卒寮生との親密度も深まった。コロナウィルスのお陰で、身体と身体の距離はとらなければならなくなったが、心と心の距離はぐんと近づいたのだ。
今回のコロナウィルス流行に神様のメッセージがあるとすれば、ここかもしれない。忙しく働いてばかりいないで、もっと周りの人に目をむけよ、と神様は伝えようとしているのではないか。何と言っても神様の示した最も重要な掟は、「隣人を自分のように愛しなさい」なのだから。